すぐにできるプレゼンテーションを上手くする方法 その3

鋭い質問を受けてどぎまぎしてしまった人へ

プレゼンテーションが怖いという人で何が嫌だって、いじわるな質問をされるときだという人がいるかと思う。必ずいるのだ。商品の説明をしにこいと言っておきながら、いざプレゼンをすると、そもそも論的な質問をしてきたり、ある種わかりきった前提条件をひっくり返すような質問をしてきたりするケースだ。いやいじわるな質問だけでなく、実際に痛いところをつかれて、どぎまぎしてしまうケースも多いだろう。

言葉を失うとはまさにそのとおりで、予期せぬ出来事に驚いてしまい、二の句がつげなくなってしまったなんて経験は誰にでもあるだろう。

どぎまぎしてしまうのは、準備が不十分だからだ、想定問答集を用意するべきだなんていう人もいるだろう。でもそれもやはり限界がある。プレゼンする側とされる側では、立場が違うし思いが違うため想定範囲外のことはいくらでもあるのだ。特にプレゼンされる側からしたら、「こいつは調子いいこといって俺をだまそうとしているんじゃないか?だまされてたまるか!」という感情が少なからずあるはずだ。そのためプレゼンターの言動を裁判官のように注視しているはずだ。そして鋭い言葉で質問を投げてくるのだ。

ではそんなときどうするか?

それは思い切って前に踏み出すのだ。これは精神的な話ではなく、ぜひ1歩2歩本当に前に乗り出してみてほしい。
「それはいい質問ですね!」
と言いながら、ぐぐっと前に踏み込むのだ。

逆に「あ、あの、それはですね。つまり、えーと・・・」と挙動不審な態度を見せたらどうだろう。それはやはり印象が良くない。たとえそれがあまりに関係のない本当に想定外の質問であっても、たじろいだり、自信のない態度を見せたら、その時点で、プレゼンする側とプレゼンされる側の力関係は一気にくずれてしまうだろう。
ここで重要なのは、相手にたじろいだ姿勢を見せないということだ。逆に前に踏み出す。するとどうだろう。質問者から見たら、「あれ?俺そんなすごいこと言ったかな?なんだか照れちゃうな。」か「そうだろう。そうだろう。この質問がこの本質だと思うんだよ。で、どうなの。」というような気持ちになるんではないだろうか?

つまり、痛い質問を「鋭い質問」「質の高い質問」と格上げしてしまうのだ。そして同時に質問者は「鋭い質問をする人」「質の高い質問をする人」となり、質問した人はさっきまでだまされてたまるかという気持ちだったのが、不思議と悪い気はしなくなっているはずだ。
そもそも痛い質問やいじわるな質問をする人は、自己顕示欲が強く、他人から認めてもらいたいという意識が強い人だったりする。そこで「あなたすごいですね」と認めてあげるのだ。

お互いに高い位置で歩み寄る。この高度な問題を一緒に考えましょう。ぜひご意見をお聞かせいただきたい。という形で歩み寄ることで、共通の問題意識として認識され、一体感がそこで生まれるのだ。そこまでいけば、プレゼンテーションは必ず良い方向に向かうはずだ。

鋭い質問や痛い質問が来たときこそチャンスだと思って欲しい。一気に相手との距離を縮め、力関係をイーブンに持ち込むチャンスなのだ。

まずは困ったときの常套句というものをいくつか用意しておくとよいだろう。シチュエーションや相手の立場によっていくつかのパターンを用意しておき、使いこなせるようにしておくことをお勧めする。