すぐにできるプレゼンテーションを上手くする方法 その2

パンチドランカー症候群の人へ

プレゼンテーションは恋愛に共通する部分がありそうだと前回書いてみたけれども、誰を口説こうとしているのかという点でも同じことが言えるだろう。相手が10代なのか20代なのか、どんなタイプの人間なのかによって接し方や口説き方が変わってくるはずだ。

しかしながらプレゼンテーションで誰に対しても、同じ資料を使って、いつも同じような口調で、同じような説明をしてしまう人がいる。果たしてそれで十分な結果を得ることができているんだろうか?

同じようなプレゼンを繰り返していると手馴れてきて、すらすらーっと言葉も滑らかになっていき、自分のプレゼンは上手くなったなぁと勘違いをしてしまう場合がある。でもよく思い出して欲しい。一番初めに書いたとおり、プレゼンの目的は、相手に何をしてほしいのかを伝え、実際にその行為に導くことだ。上手くしゃべれたかどうかではない。

そこで重要なのは、プレゼンをする前に、事前にプレゼンをする相手が誰なのかを把握し、相手にあったプレゼンをするということだ。

たとえばある製品を紹介し、購入させたいと思っている場合に、プレゼンの相手が、製品のことはまったくわかっていない購買部部長の場合と、実際に製品を利用するユーザー部門の部長の場合では話す内容は変えなくてはならない。相手の理解度、相手の事前知識量、決定権、ポスト、自分との関係性、それを認識し、自分に有利なようにコントロールするべきなのだ。

もともとプレゼンテーションという舞台では、力関係からいうと、プレゼンテーションをする側(あなた)のほうが下で、相手が上という場合が多い。商品を買う場合でも、提案を受ける場合でも、相手にとってはその内容を蹴っ飛ばしてしまってもまったくダメージがない。あなたはプレゼンが失敗したら、非常に損をする、ダメージを受ける、会社に帰って怒られるというケースがほとんどではないだろうか?

だとしたら、その力関係をまずは理解し、力関係をイーブンにするにはどうしたらいいか、力関係を上にするにはどうしたらいいか、マイナスを減らすにはどうしたらいいかを考える必要があるだろう

そうした事前の準備なしに、戦いに挑む破滅思考の人が意外に多い。お客さんから提案に来いと言われて、相手の情報を何も持たずにへいへいとお伺いしてしまうそんな人が意外と多いのだ。きっと日々、同じような提案を繰り返しているうちに、失敗することに慣れてしまうんではないだろうか・・・。まさにパンチドランカー症候群。



いきなり値引きしちゃってる人へ

相手が何者かはわかっている。そんなの下調べは十分ついている。それくらい普通だろうと。でもなんだかいつも反応がいまいちだと感じている人もいるだろう。それは意外と用意周到で頭のいい人が陥りやすい罠だったりする。
そこでよく見受けられるのは「思い込み」だ。

頭のいい人は、今日の相手はこうでこうでこういう状況できっとこういうことを問題として抱えているはずだ。だからこういう切り口で攻めてみようなどと戦略を立てる。

戦略を立てることは決して間違っていない。でもそれはあくまで仮説の上に立った戦略でしかない。

仮説の上に立つ戦略であるために、その前提条件である仮説がひっくりかえったとき、その戦略は意味をまったくなさない。しかもそこで起きているのは、双方でのすれ違いなのだからたちが悪い。
こっちは相手はこうだろうと思い込んでいる。むこうはこういう話をしてくれるだろうと思い込んでいる。そのため一度すれちがった思いは遥か彼方に向かって全速力ですれ違い続ける。熱をこめて懇切丁寧に説明をすればするほど熱弁をふるえばふるうほどに相手はどんどん引いて引いて引きまくってしまうのだ。

ではどうすればいいか?もちろん確認をすればいい話なのだ。
たとえばいきなりプレゼンをスタートするのではなく、自分の仮説を検証するところからプレゼンをはじめるというやり方を覚えておくとよい。

「先日お問い合わせいただいた当社の製品についてご説明をさせていただきます。」
といきなりはじめるのではなく
「先日お問い合わせいただいた当社の製品ですが、御社ではどのような点から当社の製品にご興味をお持ちいただいたのでしょう?」
と入るのだ。

ここで良いのは相手に条件をださせるということだ。相手の状況が見えないものは思い切って相手にボールを渡してしまうのだ。そしてその答えによって自分の体勢を整えて勝負に挑んでいくのだ。
たとえば、商品の説明を希望する相手なのだから、きっとそれがなくて困っているのかというとそうではなく、競合商品を使っていてそのある部分に不満を持っており、それが他社製品で解消できるのかを知りたがっている場合もある。製品の機能が重要だと考えていたら、製品の価格だけを評価ポイントとして考えている場合もある。

もっとわかりやすい例で言うと、相手が相応の予算を持っているのに、鼻からディスカウントの提案をする必要はまったくもってナンセンスだということだ。