10年間勤めた会社を退職するにあたって

3月末で、いま勤めている会社を退職することにした。

理由はたくさんある。それはここには書いてもしょうがないことだと思うので書かない。誤解されたくないのでこれだけは書いておこうと思うけれども、後ろ向きな退職ではなく、ボクにとってかなりポジティブな決断だったということだ。

ありがたいことに退職の連絡をした取引先や関連会社の方々から、「うちにこないか?」「こっちの仕事手伝ってもらえませんか?」と多くの誘いをいただけた。これは社交辞令の部分もあると思うけれども、自分がやってきた成果であったり、築いてきた関係性を再認識することができて、心からうれしい気持ちと感謝の気持ちを持つことができた。本当にありがたいことだと思っている。

10年も同じ会社にいると少なからず愛着があり、いざ辞めるとなるとなかなか言い出しにくいもので、ちゃんとした挨拶がなかなかできずに、最終出社日を迎えてしまった。そのためちゃんと会って話をしたかった人と話ができず、伝えたいことを伝えることができない人もいた。その方々には退社後、落ち着いたら必ず挨拶にいきたいなと思っている。

退職後の進路はすでに決まっている。今度は携帯電話関連の組込ソフトウェア技術に強い会社への転職だ。

携帯電話業界は産業としては、競争が激しく、技術革新が非常に早い業界だと思う。そして人々にとって大切なコミュニケーションツールであり、情報デバイスだ。電車の中で、子供から老人まで携帯電話を握り締めている。そんなツールが今までにあっただろうか?本当に日々の生活とともにあり、なくてはならないもののひとつになっていると言ってもいいだろう。

そんな厳しい業界へのチャレンジになる。だからこれまで以上に勉強をし自分のスキルをあげ、人との出会いを大切にしていかないといけないなと背筋が伸びる心持だ。

ここまで書いてみて、久しぶりに司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んでみたくなった。竜馬が江戸に出発するエピソードで登場する「男子志をたてて郷関を出づ、学もし成らずんば死すともかへらず」という言葉が大げさかもしれないけども、今のボクの心境に近いのかなと思う。このエピソードからはじまる竜馬の明治維新はその後日本を大きな変革に導いていき、竜馬自身もとても重要な役割を担うことになる。そこには多くの物語があり、多くの英雄がいる。

そういえば、いまの時代を梅田望夫さんが明治維新と同じような変革の時代であると論じている。いまの時代をあの明治維新と同様に考えるならば、きっとそこにも同じように多くの物語があって、多くの登場人物が必要になってくるはずだ。きっとまだまだそれははじまったばかりで、まだまだ配役はきまりきっちゃいないんだと信じたい。